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デジタルカメラはアナログカメラと
どこが違う?

取り込み画素数による分類

現在、存在するデジタルカメラはデジタルカメラの基本性能を決定する最大取込可能画素数から分類すれば、従来の銀塩カメラの35ミリ機に相当する小型機、ブローニーサイズ機に相当する中型機、4×5カメラ以上に相当する大型機と3タイプのカメラになります。
この区分けは購入カメラ決定の最重要条件です。フィルムを利用する従来のカメラシステムでは、製版スキャナの普及による製版印刷技術の向上により、入稿フィルムサイズを昔ほど厳しく問わなくなった為、フィルムサイズよりは撮影現場におけるカメラの使い勝手を基準にカメラ選びが行われてきました。
デジタルカメラにおいてはこのルールは通用しません。小型カメラで中大型カメラがもつ情報量をカバーすることはできませんし、大型カメラで小型カメラの機動力、連続撮影などの機能を代替することは不可能です。
アナログ画像とデジタル画像の根本的な違いは、アナログはレンズとフィルムの解像力によって画質が左右され、拡大した場合に使用可能拡大率と不可範囲の境界が曖昧ですが、デジタル画像は画像の取り込み解像度(画像を形成する画素数)によって画質が決定され使用可能拡大率以上に拡大すれば、はっきりと画質が劣化して使い物にならないという事です。
解像度説明図35ミリのポジカラーで美しく撮影された写真はB倍ポスターとして印刷されても美しく再現可能ですが、小型デジタルカメラで撮影された写真はどんなに美しい写真でもB倍ポスターとして美しく再現することはできません。ドットが拡大されたモザイクパターンをデジタル的で意図的な表現だとする作品でない限りは。 B倍ポスターどころか小型デジタルカメラの平均的な画素数である130万画素前後では150線で印刷した場合、品質が保証されるのは10cm×8cm程度のサイズです。うまく補完してサイズを拡大しても2倍まででしょうか。
しかし10cm×8cmという有効画素数の範囲内で使用する限り、フィルムで撮影した写真と比べても見劣りするものではありません。10cm×8cmというのはサービスサイズのプリントより一回り小さいサイズですが、通常の商業印刷物ではかなりの範囲をカバーするサイズです。
もし見開きページをカバーできる写真が必要なのであれば小型デジタルカメラでは荷が重すぎます。有効画素数で10倍近い1,200万画素以上記録できる大型デジタルカメラが必要です。
現在最大4,500万画素の取込ができる機種も存在します。4,500万画素あると約60cm×50cmの印刷サイズに対応します。目のばし印刷でB倍ポスターの作成も不可能ではありません。このくらいのサイズになると粒状性に左右されないデジタルデータのほうが小判フィルムからの印刷物よりきれいに見える場合もあります。
中型カメラは現在のハイエンドデジタルカメラの主流です。400万画素から600万画素程度の取込解像度で、印刷した場合A4サイズ1ページをカバーできるかどうかと言うところです。
もっとも利用範囲の広いサイズなのですが、導入を考えた場合、1ショットタイプと3ショットタイプのどちらを選ぶべきか迷うところでもあります。

構造による分類

マトリックス説明図デジタルカメラの基本性能を決定するのが画素数であれば、カメラの使い勝手を左右し画質も決定するカメラの構造から分類すると、1ショットタイプ、3ショットタイプ、スキャニングタイプの3タイプに分かれます。1ショットタイプはさらに1CCDマトリックスフィルタータイプと3CCDタイプに分かれます。
1CCDマトリックスフィルタータイプとは家庭用のビデオカメラに使用されているカラー受光素子の技術の延長線上にあり、CCDを形成する受光素子1つ1つに規則正しくRGBのカラーフィルターをかけたもので、構造上CCDの実画素数より実際の取り込み有効画素数は少なくなり、近隣の別色データで画像を補間するために急激な色変化がある部分に色ムラが出ます。
取込画像品位を別にすれば1CCDタイプが機構上最も小型化でき、従来のアナログのカメラとほぼ同一感覚で取扱えるので使い勝手はベストです。


3CCD説明図 業務用のビデオカメラに使われているような3枚のCCDにRGB3色のフィルターをかけて画像を取り込む、3CCDタイプのほうが色ムラもでにくく画質的には高品位なので、小型で経済的な1ショット3CCDタイプが登場すれば、それがハイエンドデジタルカメラの主流になるでしょう。
いずれにせよアナログカメラに伍して写真家がツールとして使えるのは1ショットタイプだけだといっても過言ではありません。



3ショット説明図 3ショットタイプは高価な多画素数のCCD(受光素子)は1枚だけにしてRGB三色のフィルターを通して3回露光をすることによって3CCDタイプ同等のカラー画像を得る方式です。構造上モノクロ写真は動体撮影が出来ますがカラーでは静物撮影に限られます。また構造的には3ショットタイプなのですが、高速で分解フィルターを回転させて擬似的な1ショットタイプにした機種もあります。このタイプはマトリックスフィルタータイプに比べ画像品位は3CCDタイプ同様に高いのですが、3ショットタイプと違ってストロボを使用することができません。



スキャナタイプ説明図 スキャニングタイプは平面型のスキャナと全く同じ考え方で、受光素子が短辺方向の画素数分1列に並んだラインCCDをRGB3本分並べてステッピングモーターで素子を移動して長辺方向の画素数分の回数露光する仕組みです。
7,000画素であれば7,000回露光する訳です。取り込み時間を短くするためには1回の露光秒数を短くしなければならないため、1/30秒〜1/60秒の露光秒数が標準ですから被写体の照明器具には大光量が要求されストロボは使えません。
光量的には晴天屋外並の照度が必要だと言えばわかりやすいでしょう。経済的に高品質を得るための過渡的なデジタルカメラであり製版現場では立体スキャナとして有効な使い道は有りますが、いずれ写真の撮影現場からは消えて行くことになるでしょう。カメラバックタイプとカメラタイプがあります。
同じスキャナタイプにも受光素子にラインCCDではなくエリアCCDを採用し素子と素子の間をミクロン単位で移動してハード的な画素補間をすることで高解像度を得ているタイプもあります。ラインCCDタイプに比べて解像度を稼ぐのは難しいのですが、取り込みスピードは数十秒単位と有利になります。 

                            
by H.Hayakawa



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